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風景を描きたいのですが、何を勉強しておくべきですか?

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タナカくん

風景を描きたいのですが、何を勉強しておくべきですか?

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

机の上の静物画に比べ、風景画には何か特別な手法が必要だと考える方も多いかもしれません。しかし、基本は同じです。その上で、風景画で特に気をつけるべき点をいくつか述べておきます。

まず、街並みなど人工物のある風景を描く際に必須となるのが、パース(遠近法)の知識です。少なくとも、目の前の風景がどの透視図法に当てはまるのかを瞬時に判断し、消失点と風景の関係を理解していないと、正確に形を描き起こすことはできません。(パースの基本は、専門書などで学ぶことができます)

次に、植物などを描く際には、ある程度の「省略」が必要になります。例えば木々を描くとき、たとえ見えていても葉を一枚一枚描いていては、時間がいくらあっても足りません。まずは光と影、色味の違いで大まかに全体を捉え、その上で必要な部分だけを細かく描いていく、という手法が良いでしょう。具体的には、手前にあるものや、絵の中心(テーマ)となるものにはしっかりと手を入れ、それ以外はうまく省略することが大切です。

また、風景画は卓上の静物画などに比べて、画面をどう切り取るかという「トリミング」、つまり構図の決定が非常に重要になります。良い構図を見つけられるようになるまで、まずはクロッキーをたくさん描いてみてください。構図検討の手段として、デジタルカメラやポラロイドカメラを利用するのも良い方法です。

写真があれば、続きを自宅で描いたり、後から色をつけたり、天気や季節が変わってしまっても細部を確認できたりと、多くの利点があります。ただし、写真はあくまで「思い出すための補助」として使うようにしてください。人間の目とカメラのレンズでは、物の見え方が異なります。そのため、現地で見て描いた部分と、写真を見て描いた部分が混在すると、一枚の絵として不自然なものになってしまう危険性がありますので、注意が必要です。

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デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


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