その他 デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 知識編

絵を描く上で、絵の技術以外に勉強したほうがよいことはありますか?

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

絵を描く上で、絵の技術以外に勉強したほうがよいことはありますか?

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

仕事、作家活動、趣味など、目的によって多少の違いはありますが、今回は一般論として書きます。

同じ対象を見ているはずなのに、描く人によって全く違う絵が出来上がる。絵とは、実に面白いものです。
写真は誰でもシャッターを押せますが、同じ場所で同じモデルを撮っても、やはり人それぞれ違う写真になります。

道具は同じなのに、なぜ違うものができるのか。
そんな当たり前のことに、一度立ち止まって思いを巡らせてみてください。

作品には、描き手の考え方、時代の流行、他者との関わりなどの中で培われた、その人だけの個性が色濃く表れます。
そもそも、作品は作家という人間の一部に過ぎません。

作品が「土壌に根付く一本の樹」だとすれば、その土壌こそが作家自身なのです。
豊かな土壌に栄養を与えれば、樹はどんどんと伸び、色々な花を咲かせ、様々な形へと変化していくでしょう。

その土壌に栄養を与える方法とは、様々な知識や経験を自分自身に注ぎ込むことです。
もちろん、樹に添え木をしたり、枝を剪定したりするような「絵の技術」もあった方が良いでしょう。
しかし、土壌そのものが貧弱では元も子もありません。

絵以外に何を勉強すべきか。その答えは、「この世の全てのこと」です。
人と会い、多様な作品や文章に触れ、政治や社会について知る。そうした経験のすべてが、あなたという土壌の栄養になります。

そうなると、学びには終わりがありません。
しかし、だからこそ、絵を描くことには、一生をかけて成長し続けるという大きな楽しみがあるのだと、私は思います。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-その他, デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 知識編
-

関連記事

鉛筆は沢山種類がありますが、どこで使い分けるのでしょうか?

タナカくん 鉛筆は沢山種類がありますが、どこで使い分けるのでしょうか? センセイ デッサンに使う鉛筆は、まずHBやFを中心に、その前後の硬さを2、3本揃えれば大丈夫です。慣れないうちは、跡が残りにくく …

クロッキーはどこまで描けば完成ですか?

サトウさん クロッキーはどこまで描けば完成ですか? センセイ クロッキーは、基本的に線で大まかに形を取るだけでも十分ですが、もちろん陰影をつけたり、色を塗ったりしても構いません。しかし、その自由さゆえ …

いつも輪郭線が多くなってしまいます。

スズキくん いつも輪郭線が多くなってしまいます。 センセイ たくさんの線を描き重ねて、形を仕上げていく。これも一つの描き方や個性ですから、一概に悪いわけではありません。しかし、もし手早く、力強い絵を仕 …

『面で見る』という意味が分かりません。

ヤマダさん 『面で見る』という意味が分かりません。 センセイ 「線で描くのではなく、面で捉えなさい」とは、デッサンを学ぶ際によく言われる言葉です。これは、単に輪郭線を描いてから中を塗る、という作業では …

クロッキーをするとき、どこまで描き込めばよいのでしょうか?

タカハシさん クロッキーをするとき、どこまで描き込めばよいのでしょうか? センセイ 陰影や質感をじっくり描き込むデッサンとは違い、クロッキーは、対象の形を主に線で大まかに捉える、という意味合いが強いも …

error: