デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 応用技法編

モチーフの色や模様と、陰影が一緒になると、よく分からなくなります。

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

モチーフの色や模様と、陰影が一緒になると、よく分からなくなります。

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

りんごのように、表面に複雑な色や模様があるモチーフのデッサンでは、「どこまでが模様で、どこからが陰影なのか」が分からなくなってしまうことがよくあります。
「見たままを描けばよい」と言われても、表面の模様を全て描かなければならないような気がして、途方に暮れてしまいますよね。
特にデッサンを始めたばかりの頃は、この「表面の色柄」と、立体感を生み出す「陰影」との違いが、混乱しがちです。

今回は、その二つを明確に区別するための、簡単な対処法を二つご紹介します。

一つ目の方法は、「目を細めて見る」ことです。
目を細めながら、実際のモチーフと自分のデッサンとを交互に見比べてみてください。
そうすると、表面の細かい模様や色の情報が自然と遮断され、大きな陰影の形だけがはっきりと浮かび上がって見えてきます。遠くから離れて見るのも、同じ効果があります。

このときに見えているものこそが、「物体を立体的に感じさせる、最も重要な陰影」です。
まずは、この陰影の情報をデッサンにしっかりと描き込み、その大きな立体感を崩さないように注意しながら、後から細かい模様などを描き加えていくと良いでしょう。

二つ目の方法は、「白いものを横に置いてみる」ことです。
もし球体を描いているなら卵や白いボールを、円柱を描いているなら白い紙を丸めたものを、描きたいモチーフのすぐ隣に置いてみてください。
白い物体の上では、光が作る純粋な陰影の形だけを、はっきりと確認することができるはずです。

まずは、その白いモチーフを参考に、惑わされることなく陰影の形を捉えます。
そして、一つ目の方法と同じように、その陰影の構造をベースにして、本来のモチーフの模様などを描き込んでいきます。

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デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


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