その他 デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 知識編

デッサン人形は役に立ちますか?

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

デッサン人形は役に立ちますか?

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

木製のデッサン人形は、使い方によっては大変便利なアイテムです。
ただし、この人形を本当に使いこなすには、前提として、実物の人体をたくさん描いた経験が必要になります。
基礎的な人体デッサンの土台ができていない方が使うと、結局は「デッサンが狂った人形」のような絵にしかならず、かえってストレスになってしまうかもしれません。

デッサン人形が抱える問題の一つは、実際の人間では不可能なポーズも作れてしまう点です。
そのため、人体クロッキーを数多くこなしていたり、スポーツやダンスの経験があったりして、「人間の自然な動き」が感覚的に分かる人でないと、人形で作ったポーズそのものが不自然になりがちです。
もし、あまり描き慣れていない方が人形でポーズを作る場合は、その都度、人間の関節がどの範囲まで動くのかを、自分の体で確認しながら作業すると良いでしょう。

もう一つの問題は、人形には当然ながら「筋肉」がないことです。
人形を使えばポーズの骨格は分かりますが、腕や脚を曲げたときの筋肉の膨らみや、力を入れた時と抜いた時の筋肉の状態の違いまでは分かりません。
実際の人体を描き慣れていないと、結局はデッサン人形のような、硬くて棒のような人体しか描けないのです。

これらの点を踏まえると、デッサン人形は基礎を学ぶための「練習(演習)」用具ではなく、知識のある人が使う「実践」向けのアイテムだということが分かります。
ですから、練習の段階ではできるだけ本物の人体を描くようにし、仕事や作品制作など、時間がない場面で補助的に人形を使う、という使い分けが良いでしょう。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-その他, デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 知識編
-

関連記事

人体の俯瞰、あおりが描けないのですが。

サトウさん 人体の俯瞰、あおりが描けないのですが… センセイ 見上げた顔やうつむいた顔など、少し角度がつくだけで、人の顔を描くのはとても難しくなりますよね。ましてや、体全体のあおり(ローアングル)や俯 …

『絵心がある』とはどういうことでしょうか。

スズキくん 「絵心がある」とはどういうことでしょうか? センセイ 「絵心」や「センス」といった言葉は、とても曖昧で、明確に定義するのが難しい言葉です。この「絵心」というものを説明するのに、写真が分かり …

欲しいと思う感覚(構図力・色彩感覚など)を手に入れるには?

タナカくん 欲しいと思う感覚(構図力・色彩感覚など)を手に入れるには? センセイ 絵が上達するための根本的な方法は、時間をかけて描き続けるしかありません。しかし、他者の優れた感覚に少しでも近づくための …

本当の初心者です。まず最初に描いてみると良いものは?

スズキくん 本当の初心者です。まず最初に描いてみると良いものは? センセイ もし学校の先生や本の教えに沿って練習するなら、その指示に従って描くのが良いでしょう。あるいは、車や人物など、純粋に自分の好き …

講師成冨の動画配信「デッサン配信 3日目」

関連投稿: 鉛筆は長く削ったほうがよいのでしょうか? 知識編一覧【デッサン質問箱】 鉛筆のタッチを強く出すのと出さないのは、どちらがよいのですか? 応用技法編 一覧【デッサン質問箱】   靴が上手く描 …

error: