デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 基礎技法編

描きこみが少ないのか、白と黒だけになってしまう。

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

描きこみが少ないのか、白と黒だけになってしまいます…

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

デッサンの経験が浅い方の作品には、二つの傾向がよく見られます。
一つは、画面全体がぼんやりとグレーになってしまうパターン。
もう一つは、白と黒の二色にパキッと分かれてしまい、中間色がないパターンです。
前者は細部の描き込み過ぎ、後者は単純な描き込み不足が原因であることが多いです。

もし、講評などで他の人の絵と比べて、自分の絵には「色味(階調)が足りない」と感じるなら、白と黒の間にある中間的なグレーの幅を増やすことを意識してみましょう。

具体的な手順を記します。
まず、多くの場合、圧倒的に描き込みの量が足りていませんので、とにかく描き込みを増やすことを考えます。
デッサンを始める前に、クロッキー帳に思い切り線を引いたり塗り込んだりして、手のウォーミングアップをしておくのも効果的です。

制作の早い段階で、画面の中で「一番濃くなる部分」をまず決めて、しっかりと塗り込んでしまいましょう。
そして、その最も暗い色から、紙の白さである最も明るい色までを、頭の中で10段階くらいの階調に分けるつもりで、中間色を作っていきます。

つい筆圧が弱くなって全体が白っぽくなってしまう、という方は、濃い部分には濃い鉛筆を使うだけでなく、意識して少し筆圧を上げてみてください。
モチーフ固有の色が濃い部分や、全体が影になっている部分は、手を大きく動かして、線を「引く」のではなく面を「塗る」ような感覚で、しっかりと色を乗せていきましょう。
線と線の間の隙間をなくすように塗ると、密度が上がります。

最後に、黒く塗りつぶした部分を見直します。
画面の中で「最も暗い一点」を除き、他の暗い部分は、完全な真っ黒よりも少しだけ明るいはずです。
練り消しゴムで軽く叩くなどして、明るさを調整しましょう。
絵から離れて全体を見て、不自然に黒く目立っている部分(墨だまり)がないかを確認し、全体の調子を整えて完成です。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 基礎技法編
-,

関連記事

人体を描く時、手足が小さくなってしまうのはなぜですか?

ヤマダさん 人体を描く時、手足が小さくなってしまうのはなぜですか? センセイ 人間の脳は、他人を認識するとき、主にどこを見ているのでしょうか。手足の形ではなく、もちろん「顔」で個人を判断しています。つ …

手早く描くことが難しいです。

ヤマダさん 手早く描くことが難しいです・・・・・ センセイ 描くスピードを上げる二つのコツ   デッサンの最初の段階で、全体の形を正確に捉えるには、実は**「手の速さ」**が欠かせません。 手の動きの …

トリミングのコツを教えてください。

ヤマダさん トリミングのコツを教えてください。 センセイ 「トリミング」とは、画面に描く範囲を、意図的に一部切り取って構成することを言います。写真は、目の前の風景の一部を四角く切り取る行為なので、トリ …

『絵心がある』とはどういうことでしょうか。

スズキくん 「絵心がある」とはどういうことでしょうか? センセイ 「絵心」や「センス」といった言葉は、とても曖昧で、明確に定義するのが難しい言葉です。この「絵心」というものを説明するのに、写真が分かり …

 昔の画家の絵を見る必要はありますか?

スズキくん 中世の油絵や日本画に興味がないのですが、昔の画家の絵を見る必要はありますか? センセイ 現代のイラストや漫画が好きで、過去の絵画などにはあまり興味がない、という方は多いでしょう。そうした方 …

error: