その他 デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 応用技法編

マンガを描いているのですが、人物と背景がうまくマッチしません。

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

マンガを描いているのですが、人物と背景がうまくマッチしません…

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

人物は自分で描き、背景は写真資料などを見て描く。
そうして二つを組み合わせたときに、なんとなく違和感が出てしまうことがあります。
絵コンテや漫画を描く方なら、覚えがあるかもしれません。
この原因は、大きく分けて二つ考えられます。
一つは「パース(遠近感)のズレ」、もう一つは「サイズのズレ」です。

例えば、人物は水平な目線で描かれているのに、背景は少し上から見下ろした図になっていると、パースがズレてしまい違和感が生まれます。
人物を低いアングルから描いた場合は、背景の地平線も当然、画面のかなり下の方に来るはずです。

対処法としては、まず人物を描いた時点で、その絵の視点の高さ(アイレベル)がどこにあるかを意識します。
そして、そのアイレベルと背景写真の地平線が一致するように配置するのです。
ライトボックスや窓の光を使って、描いた人物を写真と透かし合わせ、ぴったりと合う場所を探してみるのも良いでしょう。

もう一つの「サイズのズレ」も、厳密に言えばパースの問題の一種です。
背景の中に人物を置いたときに、全体がミニチュアの箱庭のように見えたり、人物が電柱より大きくなってしまったり、といった現象がこれにあたります。
これを防ぐには、それぞれのモノの相対的な大きさを、常に比べながら配置するしかありません。
人物がバストアップで描かれている場合に、背景が不自然に小さすぎたり大きすぎたりするのも、同じ原因です。

この感覚を養うには、普段から写真や映像を見る際に、手前の人物と背景との関係性を注意深く見ておくのが有効です。
特に、映画やドラマを観るときに、全身ショット、バストアップ、そしてクローズアップで、それぞれ背景がどのように映っているかを観察してみてください。
たった一本の映画を意識して観るだけでも、多くのことが学べるはずです。

とはいえ、根本的な解決のためには、やはり一度、パースに関する本を最低一冊は読んで勉強しておくことを、強くお勧めします。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-その他, デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 応用技法編
-, ,

関連記事

靴が上手く描けません…

タカハシさん 靴が上手くかけません… センセイ 靴のデッサンをする際は、まず、靴全体を大きく三つのパーツに分けて考えてみましょう。一つ目は、足首が入る「履き口」の部分。二つ目は、「足の甲」を覆う部分。 …

 モチーフ台の色が濃い場合、台を塗るべきですか?

スズキくん モチーフ台の色が濃い場合、台を塗るべきですか? センセイ デッサンをする際、モチーフが置かれている台の色が濃かったり、濃い色の布が敷かれていたりすると、モチーフの輪郭を描くために周りの色を …

偉大な画家といわれている人の素描を観ると、ヘタに感じるのですが…

スズキくん 偉大な画家といわれている人の素描を観ると、ヘタに感じるのですが… センセイ これは、意外と多くの方が疑問に思うことかもしれません。 ここで、ゴッホの話をしましょう。彼が本格的に絵を学び始め …

石膏で描きやすい場所を教えてください。

スズキくん 石膏で描きやすい場所を教えてください。 センセイ 自分の背後から光が当たる「順光(じゅんこう)」の位置は、石膏像が白飛びしてしまい、陰影が捉えにくいため、白い紙に描くデッサンでは難易度が高 …

鉛筆は長く削ったほうがよいのでしょうか?

スズキくん 鉛筆は長く削ったほうがよいのでしょうか? センセイ デッサンでは、鉛筆を寝かせて広い面を塗ることがよくあります。そのため、鉛筆の先端を削る際、芯の周りの木の部分を短く削りすぎると、その木材 …

error: