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先生は最初から絵が上手かったんですか?

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サトウさん

先生は最初から絵が上手かったんですか?

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

これは私自身の経験談になります。
子供の頃、確かに図画工作や美術は得意な方でした。
しかし、最初は周りの子と同じように、ただ色を塗ったり、好きな漫画の女の子を描いたりするのが好きだっただけだと思います。

どんな子供も、小さい頃は絵を描くのが大好きです。
しかし、小学3、4年生くらいになると、脳が成長して、物事を立体的に捉える意識が芽生え始めます。
この時期、誰もが少し「リアルなもの」を描きたいと思い始めるのですが、学校ではその方法をあまり教えてくれません。
ここで絵が苦手になったり、嫌いになったりする子が多いのです。

幸い、私はこの時期に陰影をつけて立体的に見せる描き方を知ることができました。
そのおかげで「自分は絵が得意だ」と思うようになり、周囲との差が少しずつ生まれていったように感じます。

その後、美大受験を考え、高校2年生の時に美術予備校に通い始め、そこで初めて木炭による石膏デッサンを経験しました。
しかし、私の最初のデッサンは、「こういう絵はダメだ」という悪い見本として取り上げられるほど、ひどい出来でした。
悔しくて泣きたくなったのを、今でもよく覚えています。

ただ、そこから2週間である程度まで上達しましたから、資質はあったのかもしれませんし、単に負けず嫌いだったのかもしれません。
その後の一年半は、もちろん毎日何時間もデッサン漬けの日々です。好きな絵を描く時間はなく、ひたすら基礎だけのトレーニングでした。

同じ時間、毎日練習しても、美大に受かる人と受からない人がいるのは事実です。
しかし、練習せずに受かる人はいません。私も例外ではなく、必死で描きました。

ところが、高校3年生の冬、バブル崩壊のあおりを受けて予備校に通えなくなってしまいました。
仕方なく自宅で一人で描くことになりましたが、精神的には少し辛い時期でした。
しかし、その分、周りが「現役合格は難しいから、一次試験だけでも通れば御の字だ」と考えている中、私は「絶対に合格する」という気持ちで、二次の実技準備まで本気でやることができました。

結果として、東京藝術大学に現役で合格できましたが、それ以来、「最初から絵が上手かったんでしょ?」と言われることが多くなりました。

質問にお答えします。
最初から特別に上手かったわけではなく、クラスの中では「平均より少し上手い」程度でした。
そしてそれは、生まれつきの才能というよりは、適切な時期に、適切な技術を習得できたことが大きかったのだとお答えします。
その上で、ある一定以上の量を、一定期間描き続けたのは紛れもない事実です。

もちろん、私も下手だった時代はありますし、周りの上手な人を見て気後れしたことも、よく覚えています。
そして同時に、予備校で周りを見ていて、「正しい努力を続ければ、誰もが必ず上手くなる」ということも知りました。
私が今、デッサンスクールを運営しているのは、その確信があるからです。

どうぞ、「誰もが最初は下手だった」と思って、一歩を踏み出してみてください。

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デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


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