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人体の比率がうまく描けません…

デッサンQ&A吹き出し用画像女性2の2
タカハシさん

人体の比率がうまく描けません…

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

人物デッサンにおけるプロポーションの間違いは、描き慣れていないうちは、自分ではなかなか気づけないものです。
これは、目と脳が、現実の比率を錯覚によって誤って記憶しているために起こります。

ですから、最初のうちは、写真などを元にして、正しい比率で描く練習をお勧めします。
もちろん、本物の人体を見て描くのが一番ですが、ことプロポーションの間違いを効率よく修正するという点においては、写真を使った方が早い場合もあります。

特に気をつけるべきは下半身で、脚が短くなったり、足が小さくなったりしがちです。
写真を横に置いて描いても間違えてしまうことは多いため、描き上がった後に、窓ガラスやライトボックスに自分の絵と写真を重ねて、狂いがないかしっかりとチェックしましょう。

見ながらなら正しく描けるようになったら、次は、写真を一度しっかり見て覚え、それを伏せてから描いてみてください。
途中で分からなくなったら、また写真を見ても構いません。
これをしばらく続けると、何も見なくても、おおよその比率が捉えられるようになってきます。
過去の絵を見返して、狂っているところが分かるようになれば、自分の目も十分成長したと考えてよいでしょう。

———————————

一方で、漫画などでは、実際の7~8頭身とは違う、様々なデフォルメされたキャラクターが描かれます。
こうしたキャラクターを描く場合、大きく分けて二つのアプローチがあります。

一つは、デフォルメされた比率を、現実に近いものとして捉える方法です。
例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは約4頭身ですが、そうした低い頭身の人物を描きたい場合、赤ちゃんの写真を参考に、その比率を分析して覚えます。

もう一つは、頭部を体とは別に考える方法です。
首から下の体部分の比率さえ合っていれば、全体として不自然には見えにくいのです。
体全体を均等に圧縮し、そこに大きめの頭を乗せる、という感覚です。

どちらの方法を取るにせよ、前提として、首から下の体のプロポーションを正しく描けることが必須となります。
特に間違えがちな腕の長さ(短くなりがち)や、手足の大きさ(小さくなりがち)に注意し、体の中での縦の比率を崩さないように描くことを心がけてください。
リアルな人体デッサンで培った、この基本的な比率感覚が、最終的にデフォルメ表現の説得力に繋がるのです。

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デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


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