デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 応用技法編 知識編

色をモノクロにするのが難しいのですが。

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

色をモノクロにするのが難しいのですが。

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

カラーで見えている現実の風景を、鉛筆や木炭を使って、あえて白黒のモノクロ世界に置き換える。
デッサンとは、そういう作業ですから、なかなかうまくいかないと感じるのも当然です。

特に、濃い色のモチーフ同士や、薄い色のモチーフ同士が隣り合っている場合など、それぞれの明暗をどう設定すればよいか、混乱してしまいがちです。

このような場合、まず試してほしいのが、目を細めてモチーフを見ることです。
そうすることで、余計な色の情報が遮断され、目の前の光景を単純に「濃い部分」と「薄い部分」の塊として捉えやすくなります。
これが、明暗を判断する上で最も手早い方法です。

もう一つの方法は、自分の中で「ルールを決めてしまう」ことです。
例えば、緑、赤、青といった、実際の明るさ(明度)でデッサンにすると、ほとんど同じグレーになってしまうモチーフが並んでいるとします。
その場合、絵としての分かりやすさを優先し、「この中では赤を一番濃く、青を一番薄く描こう」というように、自分で一度、序列を決めてしまうのです。
そして、その自分だけのルールに従って、デッサンの中の濃淡を描き分けていきます。

デッサンをうまく見せるコツは、現実の世界で「実際にどちらが濃いか」という事実よりも、自分の描く絵の中で「どのように再構築するか」を考えることです。
大切なのは、その一枚の絵の中で、矛盾のない、しっかりとしたルールが貫かれていること。
つまり、絵の中での「整合性」なのです。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 応用技法編, 知識編
-,

関連記事

絵が上手い人は、描けない人に比べて、何が「見えて」いるのでしょうか?

スズキくん 絵が上手い人は、描けない人に比べて、何が「見えて」いるのでしょうか? センセイ 「自分が見えているものは、絵が上手い人が見ているものとは違うのではないか?」そんな風に、自分の目を疑ってしま …

進学するなら、専門学校と美術大学、どちらが良いでしょうか?

スズキくん 進学するなら、専門学校と美術大学、どちらが良いでしょうか? センセイ 進路を考える際によく言われるのが、「専門学校は即戦力、美術大学は基礎力と応用力を学ぶ場所」という違いです。実際、入試が …

映像作品を作りたいのですが、デッサンは役に立ちますか?

タナカくん 映像作品を作りたいのですが、デッサンは役に立ちますか? センセイ 映画やアニメを観ていて、その構図やカメラワークの素晴らしさに心を奪われた経験はありませんか?カメラワークとは、言ってみれば …

どんな段階を踏んで、デッサン力が付くのでしょうか。

サトウさん どんな段階を踏んで、デッサン力が付くのでしょうか? センセイ 「デッサン力」という言葉は定義が曖昧ですので、ここで私なりに三つの段階(フェーズ)に分けて定義してみたいと思います。 第一の段 …

円柱などを描く時、見えない部分を描くのはなぜ?

タカハシさん 円柱などを描く時、見えない部分を描くのはなぜ? センセイ 円柱は、デッサンの中でも特に難しいモチーフの一つです。側面の回り込みが不自然になったり、全体の形が歪んでしまったりと、苦戦する方 …

error: