デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 知識編

描きたいと思うものがなく、デッサンの勉強が苦痛です。

デッサンQ&A吹き出し用画像男性3
ヤマダさん

描きたいと思うものがなく、デッサンの勉強が苦痛です。

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

りんごやレンガ、石膏像など、デッサンでよく使われるモチーフは、確かに味気ないものも多いかもしれません。しかし、描く対象を好きになるほうが描くのは楽しいですし、上達も早いでしょう。モデルを描くたびに恋をしてしまう画家もいるそうですが、それに近い感覚で、どうにかしてモチーフに興味が湧く方法を考えてみるのも一つの手です。

モチーフを単なる「モノ」として見ると魅力に欠けるかもしれませんが、もう少し深く観察してみてください。ただのリンゴだと思っていた表面に、何かがうっすらと映り込んでいたり、瓶に反射する光が思いのほか美しかったりしませんか。ある場所から見るとモチーフ同士の間がトンネルのようになり、その奥に光が差し込んでいる、といった発見もあるかもしれません。あるいは、光そのものに注目してみるのも良いでしょう。逆光のときにモチーフの輪郭が光る美しさや、太陽の柔らかな光と、蛍光灯が作る硬い影との違いなど、観察すべき点は無数にあります。

その中で「ここが面白いな」「この光が綺麗だな」と感じる部分が見つかれば、そこを絵の中心として描いてみてください。これは、つまり「何を描くか」ではなく「何を見せたいか」という、自分なりのテーマを設定するということです。

テーマの例としては、次のようなものが考えられます。「逆光を利用して、まぶしい朝の雰囲気を描きたい」「ガラスに映りこんだ世界を描いてみたい」「小説の挿絵のように、物語を感じる構図で描きたい」「白い布と色の濃いモチーフの対比を強調したい」などです。大切なのは、単に「モチーフを描く」のではなく、「モチーフを利用して、そのテーマを描き出す」という意識です。そうすることで、絵としての主張が生まれ、より良い作品になることが多いでしょう。

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デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


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