その他 デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 基礎技法編

デッサンのときに、画面を擦ってはいけないのですか?

デッサンQ&A吹き出し用画像男性3
ヤマダさん

デッサンのときに、画面を擦ってはいけないのですか?

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

鉛筆デッサンにおいて、描いた部分を指やガーゼで「擦る」べきか否か。
これには様々な教え方がありますが、私自身は、あまり擦らない方法をお勧めしています。
(ちなみに、木炭デッサンでは、木炭を紙に定着させるために「擦る」という行為が必須となります)

鉛筆デッサンで「擦り」を教える場合でも、多くは「擦りっぱなしで完成」とはしていないようです。
まず鉛筆で調子を置き、それを擦って均一な面を作り、さらにその上から加筆していく、という手順で指導されます。
これはつまり、鉛筆だけで均一な面を塗る手間を省くための、時間短縮の技法と考えることができます。
擦って作った面はあくまで下地であり、その上からの描き込みが前提となるのです。

もし擦る技法を試す場合は、ガーゼや擦筆(さっぴつ)といった専用の道具を使うのが良いでしょう。
これらは画材店のデッサン用品コーナーで手に入ります。
手で直接こすると、手の脂や汗で画面が汚れてしまうため、道具の使用をお勧めします。
(木炭デッサンの場合は、表現の一環として、積極的に手も使いますが)

それでも私が鉛筆デッサンで「擦り」を勧めないのには、理由があります。
もし、デッサンそのものや純粋なアート表現が目的であれば、どんな技法を使っても構いません。
しかし、将来的にCG、イラスト、漫画、あるいは水彩画の下絵などを描きたいのであれば、話は別です。
これらの分野では、基本的に画面を擦って描くことはなく、一本一本の「線」で形を構成していくことが求められます。

「どうせ後で擦るから」と思って適当に線を引く癖がつくよりも、デッサンの段階から、一本一本の線を大切にする感覚を養うことの方が、多くの分野で応用が効くと私は考えています。
最終的にどちらの道を選ぶかは、ご自身の目的に合わせて、ご自身で判断してください。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-その他, デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 基礎技法編
-, , , , , , , , , , ,

関連記事

風景を描きたいのですが、何を勉強しておくべきですか?

タナカくん 風景を描きたいのですが、何を勉強しておくべきですか? センセイ 机の上の静物画に比べ、風景画には何か特別な手法が必要だと考える方も多いかもしれません。しかし、基本は同じです。その上で、風景 …

どのくらいうまくなれば、プロになれますか?

スズキくん どのくらいうまくなれば、プロになれますか? センセイ 「まだ実力が足りないから、プロになるなんて無理だ…」 そう考えて、一歩を踏み出せずにいる方は、とても多いのではないでしょうか。 「絵の …

デスケルは使っても良いのですか?

タナカくん デスケルは使っても良いのですか? センセイ 「デスケル(デッサンスケール)」とは、画用紙と同じ比率の窓枠が開いた、プラスチック製の板のことです。B判用、木炭紙用、F判用など、使用する紙の規 …

立方体を描くのに、測りながら描いたのですが、どこかが変に見えます。

スズキくん 立方体を描くのに、測りながら描いたのですが、どこかが変に見えます。 センセイ 角度や長さを測りながら丁寧に描いたはずなのに、なぜか形がおかしくなってしまう。それが、多くの初心者が最初につま …

質感がうまく描けません。

スズキくん 質感がうまく描けないのですが・・ つぼねこ 質感を描き分けるための、ちょっと技術的な話をするとやな。いろんな濃さの鉛筆(HとかBとかな)を使い分けるんはもちろん、同じ鉛筆でも、芯をよーく尖 …

error: