デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 知識編

欲しいと思う感覚(構図力・色彩感覚など)を手に入れるには?

デッサンQ&A吹き出し用画像男性1の2
タナカくん

欲しいと思う感覚(構図力・色彩感覚など)を手に入れるには?

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

絵が上達するための根本的な方法は、時間をかけて描き続けるしかありません。
しかし、他者の優れた感覚に少しでも近づくための一つの手段として、「模写」を試してみるのは良い経験になります。

模写の位置づけについては意見が分かれますが、「模写だけでは、本質的なデッサン力は磨かれない」という考え方は、私も妥当だと思います。
ですが、優れた作家の「テクニック」を学ぶ上では、非常に役に立ちます。
他人の思考のプロセスをなぞることで、その感覚の一端を共有できるからです。

模写を行う際は、元になる作品の上に紙を重ねてなぞるのではなく、横に置いて見ながら描くようにします。
そして、ただ形をそっくりそのまま描き写すのではなく、その作品が「どのような要素で構成されているか」を頭で分析し、自分なりに分解しながら描いていくのがポイントです。

実際に模写をしてみると、自分と他人の感覚がいかに違うかに驚かされるはずです。
例えば、世の中には無限に色があるのに、自分が普段無意識に使っている色には、思った以上に偏りがあることに気づきます。
それは守るべき「個性」でもありますが、仕事として絵やデザインを手がける上では、もっと多様な雰囲気を表現したい、と思うこともあるでしょう。

そんな時は、模写の考え方を応用した練習が有効です。
CGであれば、尊敬する作家の絵からスポイトで色を抽出し、その色だけを使って簡単な画面構成を作ってみます。
絵の具の場合も同様に、作品を横に置き、見ながら同じ色を混色で作ってみる。
このとき、形までそっくりに描く必要はありません。あくまで「色の分量」や「配置」だけを真似て、似た印象の画面を作ることを目指します。
構図に関しても、モチーフの配置関係だけを抽出し、自分のモチーフで再構成してみる、といった訓練ができます。

ただし、くれぐれも注意してほしいのは、こうして学んだ作品を、そのまま模写して自分の仕事として発表するようなことは、絶対にしてはならない、ということです。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 知識編
-,

関連記事

どのくらいうまくなれば、プロになれますか?

スズキくん どのくらいうまくなれば、プロになれますか? センセイ 「まだ実力が足りないから、プロになるなんて無理だ…」 そう考えて、一歩を踏み出せずにいる方は、とても多いのではないでしょうか。 「絵の …

重量感を感じさせるには?

タカハシさん デッサンで重量感を感じさせるには? センセイ デッサンが中級から上級へと進むと、単に形や質感、陰影を正確に捉えるだけでなく、その場の雰囲気やモチーフの重量感、描き手の意図といった、より内 …

絵が描けなくてもデザイナーになれると聞いたのですが?

サトウさん 絵が描けなくてもデザイナーになれると聞いたのですが? センセイ デザイナーで絵を描けない人はたくさんいますし、実際に、絵を描く技術そのものはデザインの仕事に必要ないことも多いです。業種によ …

鉛筆以外の画材に挑戦したいのですが、お勧めは?

サトウさん 鉛筆以外の画材に挑戦したいのですが、お勧めはありますか? センセイ クロッキーを行う際は、ペンやボールペンのような「消せない画材」をあえて使ってみるのも、とても良い練習になります。 消せな …

講師成冨の動画配信「デッサンの道具の説明」

関連投稿: 鉛筆は長く削ったほうがよいのでしょうか? 知識編一覧【デッサン質問箱】 鉛筆のタッチを強く出すのと出さないのは、どちらがよいのですか? 応用技法編 一覧【デッサン質問箱】   靴が上手く描 …

error: