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人一倍作業が遅く、いつも締め切りに間に合いません…

デッサンQ&A吹き出し用画像男性3
ヤマダさん

人一倍作業が遅く、いつも締め切りに間に合いません…

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

デッサンにも、「完成」という名の締め切りがあります。
練習であるデッサンで時間管理ができない方は、実際の仕事でも、締め切りを守れない傾向があるのではないでしょうか。
作業が遅くなってしまう原因はいくつかありますので、絵と仕事、両方に共通する点として記載します。

一つ目は、スケジュール管理ができていないことです。
完成までの時間を分単位で区切り、自分で細かくスケジュールを立てられないと、時間内に終えるのは困難です。
そのためには、まず自分の作業スピードを把握する必要があります。
見切り発車で作業を始めて締め切りを逃すより、最初にしっかりと計画を立てる時間を取りましょう。
そして、必ずゴールから逆算して、「やるべきこと」(「やりたいこと」ではありません)を決定し、その小さな締め切りを守っていくことが大切です。

二つ目は、描くスピードそのものが遅いことです。
これは訓練あるのみですが、せめて下絵やラフスケッチの段階は、手早く終えられるように意識するだけでも、時間は短縮できます。

三つ目は、絵やデザインの方向性がなかなか決まらないことです。
これは、頭の中で完成イメージが固まっておらず、描き手自身もゴールが分からないまま進んでいる場合に起こります。
まず「何を描くのか」を明確にし、頭の中ではっきりと描ける状態になってから、そのイメージに近づけるように作業を進めましょう。

四つ目は、修正を繰り返すうちに、全体が分からなくなってしまうことです。
これは絵もデザインも同じですが、「細部を直したら、必ず全体を見る」というルールを徹底してください。
一部分だけを延々と直していると、全体のバランスが崩れ、それを直すためにまた別の場所を直し…という悪循環に陥り、時間がいくらあっても足りなくなります。
「何のために」「何を改善しようとして」その修正を行うのか、常に目的を意識することが重要です。

例えば、先生やクライアントから「ここを青にして」という指示があったとします。
その理由が腑に落ちない場合は、素直に意図を尋ねましょう。
「ただ青にすれば良いのか」「目立たせるために青にしたいのか」。
その理由を理解することで、もし後者であれば「本当に青が最適なのか」という議論もできますし、数ある青の中からどの青を選ぶべきか、判断のスピードが格段に上がります。

五つ目は、無駄な作業が多いことです。
一本の線で済むところを、何本も描く必要はありません。
イラストの提案で、一つの案で十分なところを、保険のために四つも五つも作る必要はありません。
まずは、最短距離でゴールにたどり着く癖をつけ、その上で、どこにこだわり、どこで力を抜くか、緩急のつけ方を学んでいきましょう。

こだわりも、センスも、言い訳も、全ては締め切りを守ってからの話です。
まずは、時間と上手にお付き合いすることから始めてみてください。

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デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


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