デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 知識編

『面で見る』という意味が分かりません。

デッサンQ&A吹き出し用画像男性3
ヤマダさん

『面で見る』という意味が分かりません。

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

線で描くのではなく、面で捉えなさいと、デッサンの現場ではよく言います。
これは、境界線・輪郭線を描いてから中を塗るのではなく、
最初からその「線と線の間を埋める面」で見ましょうということです。

例えば、手を描くとします。
手を広げてそれを描く時、大体は手の周りの輪郭線を描いていきますね。
さて、輪郭が出来上がってから、自分の手と見比べてみてください。
輪郭線だけで描いたものは、情報が極端に少ないですね。
例えば、手のひらの起伏や親指の付け根のふくらみなど、
輪郭線では表現ができません。

さて、では次に何を描くかというと、
線で見ている人は次に指や手のひらのしわを描き始めます。
これは、もちろん見えるものですから描いてかまいません。
ですが、こうやって線だけを追った絵をまた良く見ると、
立体感はほとんど表現されていないことが分かるでしょう。

いくら「しわ」を描いても、やはり手の持つ立体的な構造は描けません。
このとき、しわや輪郭線のような「線」ではなく、
最初から「ふくらみ」「へこみ」「丸み」を見ながら描くことを
「面で見る」と言います。
もっと突き詰めて言うと、立体感と陰影を描きましょうということです。

線で描こうとしていると、モチーフから線で表現できるところだけを
抜き出して描いてしまいます。
そうではなく、線で表現できない面の部分を、最初から描くつもりで
対象物を見るようにしてください。

ひとつ、線を描くことはいけないことではありません。
最初のアタリをとるときには、線を利用するほうが手早く描けます。
また、鉛筆などで絵を描く以上、出てくるものは「線」です。
(鉛筆を寝かせて塗れば線にならない!ということではありません)
これはあくまで「モノの見方」の話になります。

線ではなく面という目でみるだけで、絵が変わると思います。
心に留めて、絵を描いてみてください。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 知識編
-, ,

関連記事

デッサンにはメソッドや方法論などはありますか?

スズキくん デッサンにはメソッドや方法論などはありますか? センセイ デッサンも絵画やイラストのように、色々な描き方があります。その中でもメソッドのようなものを提唱している人はいます。 ですが、楽器を …

描画方法を勉強したいのですが、どうすればよいですか?

スズキくん 描画方法を勉強したいのですが、どうすればよいですか? センセイ 絵にも理論はあります。様々な本が出ていますので、読んでみると良いでしょう。 脳とイメージ認識の観点から書かれた本では「脳の右 …

好きな作家に絵が似てしまいます。

タナカくん 好きな作家に絵が似てしまいます。 センセイ 世の中のマンガやイラストなどを見ていても、ああ、この人はきっとこの作家が好きなんだろうな…とか、○○っぽい絵として、分類ができるな…と思うことが …

球体モチーフ(リンゴなど)が、地面にめり込んでいるようになってしまう。

スズキくん 球体モチーフ(リンゴなど)が、地面にめり込んでいるようになってしまうんです・・ センセイ 球体と地面の設置面は、点であることがほとんどです。影の付け方が、点ではなく広範囲になっていると、離 …

複数のモチーフが同じ台に乗っているように見えません。

サトウさん 複数のモチーフが同じ台に乗っているように見えません。 センセイ 最初の頃は、立方体の物体が二つ、バラバラに台に乗っているだけでも、形を取っていくのに苦労します。球体は地面と点で接しているの …

error: