デッサンの壺- -デッサン あれやこれや-- デッサン質問箱 応用技法編

モチーフが多すぎて、色の調整が難しい。

デッサンQ&A吹き出し用画像女性1
サトウさん

モチーフが多すぎて、色の調整が難しいです…

デッサンQ&A吹き出し用画像師匠
センセイ

色のついた布の上に、カラフルなモチーフがたくさん置いてある。
そんな、モノクロで表現するのが難しいモチーフを描く場合には、最後に全体を見直す「最終調整」の時間が必要です。
制作の途中でも、全体の色のバランスを調整しながら描くのが理想ですが、複雑なモチーフを相手にしていると、収拾がつかなくなってしまうこともあります。

ですから、完成間際に15分から30分ほど、絵を「再構築」するための時間を確保しましょう。
ある程度描き込みが終わったら、一度絵から離れるか、目を細めるかして、自分の絵全体を客観的に見ます。
そして、実際のモチーフと見比べ、「全体としての印象」が似ているかを確認してください。
このとき、「全体的にもっと暗くすべき部分」や、「逆に、明るくしないと不自然な部分」を見つけ出し、調整を加えていきます。

調整はもちろんモチーフを見ながら行いますが、それ以上に「一枚の絵として、矛盾なく成立しているか」を優先します。
この段階では、細かい部分にこだわらず、大きな視点で、時には一気に色を乗せるような大胆さも必要になります。

これまで丁寧に描き込んできた画面に手を入れるのは、「もったいない」と感じてしまうかもしれません。
しかし、例えば練り消しで全体の調子をざっと薄くしたり、4Bなどの濃い鉛筆で上から大きく色を乗せたりしても、下の描き込みが完全に消えてしまうわけではありません。
安心して、大胆に手を入れてみてください。

現場で作業をする「実行役の自分」と、全体を指揮する「監督役の自分」を、冷静に使い分けるような気分で、最後の仕上げに臨んでみましょう。

トライトーン・アートラボ_デッサン教室デッサンQ&Aバナー

デッサンでよくある質問をまとめたコーナーです。独学派の方も、学校で勉強している方も、ぜひ参考にしてください。


-デッサンの壺- -デッサン あれやこれや--, デッサン質問箱, 応用技法編
-, ,

関連記事

デッサンで何をしたら良いのか判りません。

タナカくん デッサンでまず何をしたら良いのか判りません… センセイ 真っ白な紙を前にして、何から描けばいいのか分からず手が止まってしまう…。これは、絵を描く人なら誰でも経験することです。そんな時は、ま …

風景を描きたいのですが、何を勉強しておくべきですか?

タナカくん 風景を描きたいのですが、何を勉強しておくべきですか? センセイ 机の上の静物画に比べ、風景画には何か特別な手法が必要だと考える方も多いかもしれません。しかし、基本は同じです。その上で、風景 …

どこから描き始めれば?

デッサン教室の片隅でヤマダさんがなにやら画用紙を前に唸っていますよ・・   【ヤマダさん】 う~~~~~~~~~んう~~~~~~~~~~~~~~むむむむ 【せんせい】 どうしたんじゃヤマダさん、紙の前 …

デッサンをやると無個性になりませんか?

サトウさん つぼねこさん、デッサンをやると無個性になっちゃったりしませんか? つぼねこ 例えば家を立てる時には、まず整地して基礎を作ってと順番に下から積み重ねていくやろ、土台がないところに家を建てると …

木炭で描くときに、細かい質感が表現しにくいのですが。

タナカくん 木炭で描くときに、細かい質感が表現しにくいのですが。 センセイ 木炭はデッサンで使われる代表的な画材で、素早く直感的な描画ができるという特徴があります。濃くしたいと思えば一瞬で濃くでき、逆 …

error: